■株の取引で重要な考え方

 ここでちょっと話題をかえて、株の取引の話をしましょう。

 インターネットを活用した株の取引が盛んです。例えば日本経済新聞には個人投資家のことを伝えるニュースが毎日のように掲載されています。さらに、各種週刊誌には「注目銘柄100選」や「ボーナスで買いたい値上がり銘柄50選」といった記事がよく掲載されています。

 株式投資においては、週刊誌の注目銘柄を読んで投資するような、Howに固執した「初心者」は負けることが多いでしょう。短期的な金もうけしか考えない、つまり投機的投資をしている限り、偶然、1回や2回は勝つでしょうが、結局いつか大負けして、結果として損をします。初心者にとっての株式投資は、宝くじを買っているのとあまり異なりません。How To本とか雑誌のお勧めに従って株を買って、株価が上がることを祈っているだけです。1回1回の取引の勝ち負けに一喜一憂しているわけです。

 つまり「初心者」はHowに固執しているといえます。

 一方、「株式投資のプロ」は機械的に利益を得ようとします。期待収益が計算されており、リスクを数値化して管理・マネージしているのです。いい方を換えると、株に期待する収益を理解しているので、株でここまでもうけよう、例えば、10回取引して取引元本に対して10%の収益を実現しようといったことが管理されているのです。

 なぜ株を買うのか。それは期待収益10%を実現するため、というWhyがしっかりしているのです。

 そうなると、「株式投資のプロ」は1回1回の取引の勝ち負けはあまり気にならなくなります。10回、20回という取引のトータルでの負けの金額を少なくし、勝ちの金額を増やすよう、確率を管理するのです。つまり、損をマネージしているから勝つといえるでしょう。

 整理すると、「株式投資のプロ」は、なぜ株を買うのかを理解している、Whyを把握しているので、「マル秘の注目銘柄100」とか「ストップ高間違いなしの20選」というような、本質的でない、表層・小手先のHowに固執しないといえます。